この記事では次の内容についてお伝えしていきます。
- ハンターが辞退する安すぎる熊の駆除報酬
- ハンターが語るリアルなヒグマ事情
ハンターが辞退するほど安すぎる熊の駆除報酬
あーあ。獣害事件増えたらどうすんの?
— 孤独 否 孤高 (@vaffanc10239507) May 22, 2024
これで喜ぶのは熊駆除に抗議してくる暇人活動家だけやん。
クマ駆除辞退 報酬にハンター怒り#Yahooニュースhttps://t.co/KolxLUxbs4
【札幌市:冬眠明けのヒグマ捕獲始まる】
— 札幌災害情報 (@sapporo_119) March 15, 2024
ヤフーニュース
冬眠明けのヒグマを捕獲する、春期管理捕獲事業が、札幌市でも始まりました。
今年度のクマの出没は227件で、過去10年で最多となっています。
札幌市の春期管理捕獲は4月後半まで行われる予定です。https://t.co/924TcKNigg pic.twitter.com/6AuY4z4hUb
北海道では、近年ヒグマの出没情報が数多く寄せられおり、’14年555頭から’23年には1422頭(’22年は796頭)と、捕獲数はこの10年間で3倍近くまで増加!すでに、人や家畜への被害が増えてきている傾向にあります。主な被害は道央(札幌市や近郊の町など)、道東(厚岸管内や標茶管内)に集中しているような気がします。
そしていま、ヒグマを駆除するハンターから「熊の駆除報酬」について怒りの声があがっているというのです。そこで、ここでは北海道のハンター(猟友会)の方たちが辞退するほどの「安すぎる熊の駆除報酬」について解説していきたいと思います。
このトピックの主な取材対象は、北海道猟友会「砂川支部奈井江部会の山岸辰人部会長」を中心とした構成内容となっています。
熊の駆除報酬はいくらなのか
命の危険がある熊駆除の日当が8500円は草
— くま (@kumafx2021) May 22, 2024
猟友会がクマの駆除辞退 「この報酬ではやってられない」「ハンターを馬鹿にしている」北海道奈井江町(HTB北海道ニュース)#Yahooニュースhttps://t.co/ReI67riJg5
奈井江部会の山岸部会長は、奈井江町役場からの「熊の駆除報酬が安すぎる」と、ヒグマの駆除要請に対して受け入れがたい難色を示しています。実際のところ、北海道内の「熊の駆除報酬」については各自治体によって異なっているのが実態です。そのため、自治体によっては金銭対価の折り合いがつかず、ヒグマによる被害があったとしても、ハンターが出動しないという自体にも繋がる恐れが出てきています。
いま、問題となっている奈井江町の「熊の駆除報酬」については以下の通りです。
- 基本的な日当 4800円
- ヒグマ対策(出没地周辺見回り等) 3700円
- 砲した場合 1800円を加算
合計 10,300円
それに対して、他の自治体についてはどのくらいの報酬なのかいくつかご紹介します。
幌加内町(ほろかない)では、昨年2023年に朱鞠内湖で釣り人が襲われたことから増額となり「1日15,000円」の駆除報酬、札幌市では「出動1回25,300円、捕獲や搬送36,300円」となっており、予算の多い自治体と比べると明らかに「熊の駆除報酬」について開きがでているのです。
ハンターの本音と対応
猟友会がクマの駆除辞退 「この報酬ではやってられない」「ハンターを馬鹿にしている」北海道奈井江町 #猟友会 #ハンター #クマ #ヒグマ #駆除辞退 #奈井江町 #北海道 #HTB北海道ニュース https://t.co/cfz4vfhJoC
— HTB北海道ニュース (@HTB_news) May 21, 2024
実際に、奈井江町では、ハンターに対して「指示に従い罠をかけるなり捕殺するなり」して処分をしてくださいというような駆除要請がきます。しかし、山岸部会長は次のように語っています。
山岸部会長は「ヒグマは相手が違う、鉄砲を持っているからって米軍の特殊部隊を相手にするようなものだよ」とその危険性について語っています。そして、いまの「熊の駆除報酬」については「みんなそれぞれ仕事してるわけですよ。高校生のコンビニのバイトみたいな感覚でやれ。ハンター馬鹿にしてない?」と憤りを感じています。
山岸部会長によると、これまでのヒグマ駆除については「100%ボランティア、無償で」という感覚で対応を続けてきたということでしたが、それも限界ということになっているようです。
決めた「駆除辞退」と今後の対応
熊の駆除報酬について奈井江町は「こちらの要求でかなえられそうなものはない。予算がありません」との回答だったらしく、交渉はまとまらなかった奈井江部会としては「鳥獣被害対策実施隊への参加を辞退する」ことに決めたという決断に至りました。
奈井江町はHBCの取材に対し「猟友会と改めて話し合いをしたい」とコメントしています。
今後、奈井江町では「ヒグマによる被害があっても出動するハンターが不在」ということになっており、ヒグマによる被害が急増しているいま、奈井江町全体としても解決しなければならない大きな課題の一つと言えます。
北海道が市町村に報酬半額補助
春熊駆除復活。
— 宇屁輔 (@uheho) November 14, 2023
ヒグマの24年春期管理捕獲 道、市町村の報酬に半額補助:北海道新聞デジタル https://t.co/3VbFAVzd2r
北海道では残雪期の「春期管理捕獲」について、ハンターに出動報酬を支払っている市町村に対して「報酬の半額を補助」する方向で調整にはいっています。これは、「安い駆除報酬」によるハンター離れを解消するとともに、若手のハンター志願者を増やす取り組みにとしても貢献することが狙いです。
全道で増えているヒグマによる出没報告や被害報告に対して、北海道が各市町村に補助を行うことはハンターが活動するための大きな財源となるため、大きな期待が寄せられています。
ハンターが語る北海道のリアルなヒグマ事情
New OSO18 現る🐻
— ぼく (@xxbokuxbokuxx) May 21, 2024
ヒグマの仕業か 牧場で子ウシ8頭襲われ 4頭の死骸みつかる OSO18が活動していた北海道東部でまた…新たなOSO"牛襲いクマ"の出現か
5/21(火) 12:20
https://t.co/KPQHf6AEqT pic.twitter.com/zdKQiDBuZ4
4/30放送「ヒグマが車に突進 山菜採りで恐怖の瞬間」
— 羽鳥慎一モーニングショー (@morningshow_tv) April 30, 2024
4月28日、北海道で撮影されたドライブレコーダーの映像には、ヒグマが軽トラックを襲う瞬間が映っています。
北海道では4月に入って、人気の観光地でもクマの目撃情報が相次いでいます。 pic.twitter.com/rHv0zW5IRG
2023年度、過去最悪のヒグマによる被害を出した北海道では、農作物「2億7100万円」の被害、人が襲われ死亡する被害、わたしの知り合いの森林組合の職員さんが山林での作業中にヒグマに襲われ大腿部に大けがを負いPTSDを発症、厚岸町では山菜取りに来ていた老夫婦が襲われ1名が死亡するといった被害が後を絶ちません。
ここからは、人間を餌にするアーバン・ベアの存在と猟友会ハンターが語る北海道のリアルなヒグマ事業についてお伝えしていきます。
人間を餌にする「アーバン・ベア」
#クマといつまでも#エゾヒグマ
— 金子貴樹 動物園写真家 (@oisonero2015) December 13, 2021
佐藤喜和先生著「アーバン・ベア」終章より、
"豊平川や支流でヒグマがサケマスを食べる様子を市民・観光客が安全に観察"できるような未来を期待しています
豊かな大自然が北海道の象徴ならばその生態系の頂点であるヒグマを排除していいはずがない pic.twitter.com/Si5Xyhd1Lp
札幌市南区周辺では、連日のようにヒグマの目撃情報が寄せられています。2021年6月にはJR札幌駅からわずか3km先の市街地でヒグマが住民を襲い「重傷者1人」を含む4人の負傷者が出ました。
札幌市内で採取したヒグマの毛や糞などを遺伝子レベルで解析した結果、市街地に近接する山林にはおよそ30頭以上のヒグマが生息していることが、北海道立総合研究機構の調査でわかっています。
このような都市近郊に生息するヒグマは「アーバン・ベア」と呼ばれており、いわゆる“人慣れ”が進んでいるのが大きな特徴の一つとして挙げられます。
そんなアーバン・ベアが最も危険なのは「人や車の音など人間の生活環境に適合した個体は、人間や機械を怖がることなく人里へと降りて来ます。そして彼らは住宅地にある生ごみを食べ、そこをエサ場として認識して通うようになります。さらに、人間を襲って餌にしたヒグマは積極期に人間をエサだと認識して襲ってくるようになります。この「人間が餌だと学習するアーバン・ベアの出現こそ最悪のシナリオ」というわけです。
日本史上最悪の獣害事件「三毛別羆事件」が最もその理解を深めるにおすすめの事例です
現役最強ハンターが語るリアルなヒグマ事情
「伝説の男が知床に!」最終章
— big_yunkeru yunkerusty (@BigYunkeru) June 30, 2023
北海道を襲うヒグマ危機。被害拡大を防ぐために、赤石氏が培ってきた技術、知識の継承が必要なのは間違いない。 ●赤石正男(あかいし・まさお) 1952年生まれ、北海道標津町出身、標津町在住。ハンター歴は約50年で、"野生のクマが恐れる男"と呼ばれる。 pic.twitter.com/B7jbjc5Iip
世界有数のヒグマの生息地でもあり、世界遺産でもある知床(しれとこ)に、現役最強ハンター「赤石正男(70歳)」はいました。これまで単独で120頭以上のヒグマを仕留めた実績を誇り、地元ハンターの間では「野生の熊が恐れる男」と称されているほどの実力者です。
背丈180cm程度で細身の体形ですが、赤石氏は冬眠穴から突然襲い掛かってきたヒグマにもひるまず「わずか30cmの至近距離で撃ち殺した(って、ゴールデンカムイかよ)」という経験もあるそうで、標津町という大自然に囲まれた町で育ってきた赤石氏は、20歳で狩猟免許を取得し散弾銃をもってすぐの頃「自宅の畑に現れた子連れ熊を射殺」したというデビュー戦を果たしています。
以来50年もの間「ヒグマを獲らなかった年はない」と豪語します。先ほど紹介した仕留めたヒグマの頭数120頭ということでしたが、赤石氏は「それ以降はよぉ覚えとらんの。もっと獲ってる」とのことなので、実際にはもっと多くのヒグマを仕留めているようです。
そんな、赤石氏には次に掲げる2つの鉄則があるそうです。
- 対峙した熊は一発で仕留めること
- 自分の立ち位置より上方にいる熊は絶対に狙わないこと
この鉄則が出来た経緯には、とある1つの教訓となる実体験がありました。
赤石氏がまだ30代だった’85年、隣町の羅臼町(らうす)の山中で「地元でもクマ撃ち名人」として知られていた男性ハンター(当時60代)が、狩りに出たまま行方不明になってしまいます。この一方を聞きつけた翌日、赤石氏はライフルを携えて、地元猟友会の捜索隊に加わる形で山に入りました。
残雪の上にライフル銃が放置されたそこには、たばこの吸い殻が残っていて、周囲には大量の血が飛び散っていたと言います。そこから60mほど離れた沢の残雪の下に「頭部や顔面に深い爪痕が刻まれた遺体」を発見しました。
赤石氏は山の斜面に現れたヒグマを「下から撃ち上げる形で発砲!」後に判明したことですが、発砲した弾丸はヒグマの横隔膜を破り、背骨の横を通過し背中で留まっていたそうです。
ダメージを負ったヒグマは、そのまま笹薮(ささやぶ)の中へと転げ落ちました。
ヒグマを仕留めてホッと一息(たばこに火をつける)・・・。
すると、突如さきほどのヒグマが山をグルっと小回りしてきて一服中だった赤石氏の上から襲い掛かりました。そのまま頭や顔を前足でひっかかれた挙句、振り回されて数十m先まで投げ飛ばされます。
この時の半矢状態(銃弾が命中しても死ななかった獣のこと)だったヒグマはアドレナリン200%!怒り狂った状態で必ず反撃します。そうなれば、ハンター自身の生命にも危機は及ぶばかりか、そのヒグマが人里へ下りようものなら大惨事!
- だからこそ、ライフルで放つ弾には「重たい責任」が伴うということ。
- だからこそ、致命傷を与えにくい「下方からの銃撃は避ける」ということ
当時、命を絶たれた大先輩のハンターが、いまの“鉄則”となった「教訓」を残してくれたと言います。
最後に、当時「半矢」となったヒグマはどうなったのか???
どこかに半矢のヒグマが潜んでいる恐れがあったため、川の上流へと捜索隊が向かう中、赤石氏は「何かが違う」と感じて、遺体発見場所であった現場へ引き返します。
すると、笹薮の中に進んでいった猟犬に驚いた手負いのヒグマが突如、赤石氏の目の前に!?赤石氏はこのヒグマにトドメをさし、見事に大先輩ハンターの敵討ちを果たしました。
しかし、いったいなぜヒグマが遺体発見現場に留まっていることがわかったのでしょう?
赤石氏「直感だよ」
ハンター辞退する安すぎる熊の駆除報酬!北海道のリアルなヒグマ事情!
今回は、以下の内容についてお伝えしてきました。
- ハンターが辞退する安すぎる熊の駆除報酬
- ハンターが語るリアルなヒグマ事情
ここまで、北海道のヒグマとハンターについて迫ってみました。今回は「ハンターの実体験」や「わたしの経験談」などから、内容が長編となりましたが、いかがでしょうか?
実際に北海道の「熊出没」の看板などを山林で見かけた方ならわかると思いますが、とてつもない圧迫感と緊張感を体感することができます。実際に動物園やクマ牧場などで飼育されているヒグマを鑑賞するのとはわけが違います。
いま、年々人里へと出没し目撃情報が増加するヒグマと、様々な事情から担い手が減少するハンターは北海道において大きな問題の一つと言えます。熊と人間が共存するためにも、先ほどご紹介した見識の高いハンターの存在は必要不可欠に思えてなりません。ハンターへの待遇改善が早急になされることを期待します。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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