大地震が発生する前に、動物たちはさまざまな異常行動を示すことがあります。例えば、犬が普段とは異なる鳴き声をあげたり、猫が隠れるように鳴ったり、鳥が異常に騒がしくなるなどといった行動が実際には報告されて来ています。
科学者たちは、これらの動物が地震発生前の微弱な振動や地中から発生するガスなど、人間の感覚では捉えることのできないある種の「信号」を感知しているのではないかと考えられています。
そこで今回は、
・大地震の前兆?発生直前に見られた動物の異常行動
・大震災の前兆で行動に変化の現れる身近な動物とは
主にこちらの内容で紹介して行きます。
大地震の前兆?発生直前に見られた動物の異常行動
これまで過去に、大地震が発生する前に動物の異常行動が数多く報告されてきました。彼らの行動は地震発生の前兆として捉えられることがあり、古くから多くの伝承や科学的な研究対象として注目されてきました。
ここでは、実際の大地震発生前に確認された動物たちの異常行動について紹介して行きます。
異常行動の事例
犬と猫の異常行動
犬が急に吠えたり、ソワソワして落ち着きがなくなったり、遠吠えすることが報告されています。猫も外に出ようとしたり、鳴き続けたりするなど、異常な行動を取ることがあります。1975年の中国・遼寧省で起きた海城地震の前には、動物の異常行動を観察して住民の避難に役立てた例があります。
象の異常行動
2004年のスマトラ島沖地震では、地震発生前に象が鎖を断ち切り逃げ出したり、犬が異常に騒ぐ事例がありました。
魚の異常行動
2011年の東日本大震災直前には、東北の6漁港でマイワシの月間漁獲量の異常が観測されました。
その他
カラスの大群が異常な鳴き声で騒ぐ、キジなどの鳥が鳴く、魚が跳ねる、ネズミが騒ぐ、アリが異常に多いなど、さまざまな動物の異常行動が地震の前兆とされてきました。
これらの報告は、動物が地震の前に明らかな異常な行動を取る可能性があることを示唆していますが、これらの行動が確実な地震予知に繋がるかは科学的にはまだ明らかではありません。地震予知に関しては現代の科学でも難しいとされ、気象庁も地震雲などによる予知には否定的な見解を示しています。
地域別の事例
日本国内:阪神淡路大震災
社団法人愛玩動物協会によると、阪神淡路大震災が発生する前に犬と猫に関する異常行動が確認できたと報告があります。その具体的なデータを表にしてご紹介します。
動物種 | 異常行動の内容 | 異常行動のタイミング |
---|---|---|
犬 | 異常に鳴いた(44%) | 大地震発生の数日前(23%) |
落ち着きがなくなった(36%) | 大地震発生の前日(28%) | |
何かに怯えるようになった(15%) | 大地震発生の当日(23%) | |
大地震発生の数分前(18%) | ||
猫 | 異常に鳴いた(47%) | 大地震発生の数日前(27%) |
落ち着きがなくなった(27%) | 大地震発生の前日(20%) | |
何かに怯えるようになった(7%) | 大地震発生の当日(27%) | |
大地震発生の数分前(13%) |
日本国内:東日本大震災
読売新聞の記事(2011年7月2日)では、東日本大震災に先駆けて動物たちの異常行動が確認できたと報告があります。以下に、その内容を引用してご紹介します。
震災当日の午前1時50分頃、宮城県石巻市湊地区で30年以上暮らす阿部幸子さん(66)が玄関のドアを開けた瞬間、普段の3倍近い数である50匹程度のカラスがギャーギャーと泣き叫んでいるのを目撃。また同地区に暮らす佐藤よし子さん(60)は、3月11日午前10時から正午頃にかけて、上空で激しく争うような数十羽のトンビのけたたましい声を聞く。さらに震災1週間前の3月4日、茨城県鹿嶋市の海岸で、打ち上げられた小型クジラ54頭が発見される。
引用元:読売新聞
中国
- 1920年:海原大地震(M8.5)
-
群れを成して逃げる狼や異常に吠え立てる犬、慌ただしく空を飛び交う燕が確認される。
- 1966年:河北省地震(M6.8)
-
地震が来る前に震源地付近の犬が一匹残らず村(震源付近)から逃げ出した。
- 1969年:渤海地震(M7.4)
-
海ではカモメやサメなどの異常な行動が見られ、地震到来の2時間前には天津人民動物公園でパンダ・シカ・ヤク・トラなどの異常行動が見られたため、それを察知し素早く避難勧告を出すことに成功した。
- 1975年:海城地震(M7.2)
-
寒い12月中旬にヘビたちが突然冬眠から目覚め、路上に大量に表れそのまま凍死した。今度は、そのヘビたちを狙ってネズミが大量発生した。年明け’75年2月にはいると、牛・馬・犬・豚などに異常な行動が見られ、その4日後に海城地震が発生している。
アメリカ
- 2011年:バージニア州での地震(M5.8)
-
ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物公園では、地震発生の15分前アカエリマキキツネザルが奇妙な叫び声をあげたり、ゾウが地面を踏み鳴らしたり、ジャイアントハネジネズミがおやつを放棄して巣穴に引きこもったりと、様々な動物たちの異常行動が確認された。
イタリア
- 2009年:ラクイラでの地震
-
地震発生の3日前、繁殖場に群がっていたヒキガエルが一斉にいなくなり、地震後1日たった頃にまた戻ってきたという記録がある。
その他
英国の生物科学者「ルパート・シェルドレイク」氏は著者「世界を変える七つの実験」の中で、以下に列挙した地震発生に際し、犬を始めとする動物たちが一斉に移動を開始したと指摘する
- 動物の異常行動が観察された地震
-
- 1960年:モロッコ・アガディール港の地震
- 1963年:ユーゴスラビアのスコピエ市地震
- 1966年:ロシアのタシケント地震
- 1997年:イタリアのアッシージ地震
大震災の前兆で行動に変化の現れる身近な動物とは
これまでご紹介した様々な事例をもとに、わたしたちの身近な動物からも大地震発生の前兆を確認できることがわかりました。ここでは、大きく5つのカテゴリに分けて、身近な動物の異常行動について紹介していきます。
身近な動物とその異常行動
- 犬: 地震の前に不安定な行動を示すことが多く、普段とは異なる鳴き声を上げたり、飼い主に異常に懐いたりします。また、地震直前には異常なほど興奮したり、逃げ出そうとする行動を取ることも
- 猫:猫も地震の前に異常行動を示すことがあり、隠れることが多くなったり、外に出ようとしたりします。また、普段とは違う鳴き声を出すことも。
- 鳥:特に小鳥は地震の前に異常な行動を取ることが知られています。騒がしくなる、異常な飛行をする、あるいは普段とは異なる場所に集まるなどの行動が観察されます。
- 魚:水族館などで飼育されている魚が地震の前に異常な泳ぎ方をしたり、水面に集まって跳ねたりすることがあります。
異常行動の可能性の背景
動物たちが地震の前に異常行動を取る背景には、人間が感じることのできない微細な環境の変化、例えば地鳴りや地下からの振動、電磁場の変化などに敏感に反応している可能性が考えられます。動物の感覚器官は人間とは異なり、これらの微細な変化を捉えることができるとされています。
動物の異常行動がすべて地震の前兆であるとは限らず、その他の自然現象や、気象条件の変化、動物自体の健康状態などによっても引き起こされることがあるため、注意が必要です。地震予知のための確実な指標として動物の行動を利用するには、さらに多くの科学的研究とデータが必要です。
大地震発生の前に世界各地で動物たちの異常行動が確認された
今回は、大地震の前兆?発生直前に見られた動物の異常行動、大震災の前兆で行動に変化の現れる身近な動物についてご紹介してきました。
動物たちの異常行動から「大地震発生の前兆」をハッキリと予知(確約)することは、難しいのかもしれませんが、世界各地で多くの報告があるのは確かです。
これは偶然と言えるでしょうか?
いずれにせよ、ハッキリと言えることは、あなたの身近な動物たちが「もし、いつもとちがう異常行動をしたら」それは何かが起こる前触れとして、注意するべきだということです。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
コメント