非常に残念なニュースとして、2023年の名目国内総生産(GDP)がドイツに抜かれて世界第4位になることが確実となってしまいました。世界第1位の米国、第2位の中国、そしてこれまでは我が国 日本が世界第三位でしたが、遂にその地位をドイツに奪われることが現実となります。
そこで今回は、
・日本のGDPが転落した理由
・気になる日本のGDP将来予想
主にこちらの内容について考察していきます。
日本のGDPが転落した理由
今月に入り、日本のドル換算での名目国内総生産(GDP)が、2023年にドイツを下回り世界第3位から第4位に転落することが、内閣府の発表で確定となりました。
2023年の実質GDPは前年比プラス1.9%、名目GDPは+5.7%と高めとなりましたが、ドル建て換算では名目GDPは日本の4兆2,106億ドルに対して、ドイツは4兆4,561億ドルとなっています。
それでは早速ですが、なぜ日本のGDPが転落してしまったのか、その理由についていくつかの視点で考察していきたいと思います。経済学者や政府関係者の多くは、主に以下の要因を挙げています。
人口減少と高齢化
日本の人口減少と高齢化は、労働力の減少や社会保障負担の増加など経済に悪影響を与えています。しかしながら、ドイツの人口が日本の約3分の2であることを考慮すると、人口減少よりも賃金の伸び悩みが大きな影響を与えていると言われています。過去30年で、日本の名目賃金が1.1倍の上昇に対して、ドイツでは2.1倍も上昇しているからです。
経済政策の課題
長期にわたるデフレーションや財政赤字など、日本の経済政策の課題がGDPの成長を妨げています。研究開発や教育機関への投資が他の先進国に比べて比較的少ないことも、日本経済の成長力を鈍化させていると考えられます。
技術革新の遅れ
日本ではGDP比での研究開発費が他国と比べても低い傾向にあると指摘されている一方で、ドイツなどでは新技術の開発やイノベーションの推進に多くの投資を行っています。また、起業家を中心としたスタートアップ企業への支援体制が国として整っているか否かも、技術革新のスピードに直結していることがわかっています。
戦後の日本は加速度的なGDP成長を遂げた
太平洋戦争(1941年~1945年)での敗戦後の日本は、高度経済成長により加速度的なGDP成長を遂げました。日本政府は経済再建を最優先の課題とし、インフラの再建、産業の振興、そして輸出の増大に力を入れました。特に1950年代後半から1970年代にかけて、製造業を中心とした産業政策、技術革新、そして教育水準の向上が経済成長を支えました。また、米国との安全保障関係の下での安定した国際環境も、経済成長を加速させる要因となりました。
戦後の日本は、1968年には当時の西ドイツ(東西統一前)を抜いて経済大国である米国に次いで世界第2位となりました。しかし、1990年代初頭にバブル経済が崩壊して以降、日本経済は長期にわたる低迷期に突入していきます。
日本は1968年から2009年までのおよそ41年間、米国に次いで世界第2位の座を守ってきましたが、2010年には中国に抜かれることになりました。
気になる日本のGDP将来予想
日本ではいま、円安ドル高が急激に進み、ドルに換算した時のGDP総額が目減りしたことや、ドイツ側のGDPが物価高によって引き上げられたことなど、為替の影響が大きいとされています。
それでは、今後の日本のGDPは将来いったいどうなっていくのか、出来る限り考察していきたいと思います。
まず大前提、日本国内の問題を考えなければなりません。
日本の生産力が低迷する一番の原因には、人口減少という構造的な問題があります。しかし、これまで残念ながら「人口減少と経済成長の両立」を成し遂げた国は歴史上に存在しないことがわかっています。日本国内の問題解決をしていくには、自国で「子どもの数を増やす」か「女性の地位向上」に注力するか、それとも「移民を積極的に受け入れる」か、という選択肢しかありません。
いずれにせよ、積極的な労働人口の生産こそが、国内問題解決にとって大きな意味と価値があると考えられます。
また、国際的には、日本が考えなければならないのは人口減少だけではありません。一人当たりの生産性こそ重要です。国際通貨基金(IMF)によると、日本は2026年にはインドにGDPで抜かれることになると予想しており、そうなると日本は近い将来、GDPで世界第5位に転落する可能性があるということになります。
失われた30年の出口を模索し続ける日本国民
今回は、日本のGDPが転落した理由と気になる日本のGDP将来予想について考察してきました。
日本のGDPが世界4位に転落した背景には、人口減少、経済政策の課題、技術革新の遅れがありました。
戦後、高度経済成長を遂げた日本ですが、1990年代のバブル崩壊後、「失われた30年」に突入し、いまなお出口が見えない状況が続いています。将来予想では、為替の影響や国際競争力の低下が指摘され、人口問題の解決や生産性の向上が急務とされています。また、一人当たりの生産性も意識していく必要性があると考えられます。
この状況から脱却し、再び経済成長を実現するためには、国内外の課題に対する積極的な取り組みが求められます。我々国民も、情報を受け取る側から、発信する側に立ち、自ら国を変えていく必要性があるのではないでしょうか。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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